ROEとは

最近株式投資における企業業績を知るための指標としてROEが注目されているようです。ROEとはReturn on Equityの略語で、日本語では株主資本利益率と呼ばれます。

ROEとは、税引き後の純利益(損益計算書の当期純利益)を株主資本(貸借対照表の資本の部の合計)で割ったもので、通常パーセントで表示されます。なお、株主資本はROEを求めたい年度の期首と期末の数値の平均値を用います。

株式投資を行う場合には、ROE以外に自己資本比率が高いか低いかも問題で、借金が多い、つまり自己資本が少なくてもROEは数字の上では高くなりますから、注意が必要です。ROEが高くても、自己資本比率が少ない企業は、借金の負担が大きい、ということですね。

株式投資の指標としてのROEはともかく、自分のビジネスを経営する人にとってもROEは役に立ちます。起業したての小さなビジネスならば自分が出資している部分が大きいことでしょう。自分が投資している額に対して利益がどれくらいの率になっているかを見るのに、ROEは最適だからです。ROEが高ければ、自分が出資している金額に対して利益が大きく出ている、つまり、投資した資金が効率よく回っている、と言えます。

一方、借入金なども含めた資金がどれくらいうまく回っているかを判断する指標はROA(Return on Asset)、総資産利益率と呼ばれます。

では、どれくらいのROEがあればビジネスとしてうまく行っていると言えるのか?僕の意見では、基準は特にありません。個人経営に近い小さなビジネスであれば、配当金を払うことも稀でしょう。その場合、株式投資のように純利益が多いから配当が期待できる、といったことはあまり関係がないからです。

それよりもむしろ、自社の前年度のROEと今年度のROEを比較して、パフォーマンスの変化を見る、という使い方が良いと思います。ROEが高くなってきたならば、それは自己資本が効率よく回転している、ということですから。

ちなみに我が社のROEは約10%。世間のビジネスと比べると決して高いとは言えません。その大きな理由は、不動産賃貸事業に大きな資産があるので、どうしても全体の平均を下げてしまうこと、そして他の事業はサービス業で人の時間の切り売りなので、資本の回転率は商品製造販売に比べて低くなりがちだから、です。

また個人事業主の場合は、そもそも純利益が個人の収入に該当しますから、正しいROEを求めようがありません。